最愛〜最高の涙を君と…〜
「待、てよ」
気付けば俺は一ノ瀬の
胸倉を掴んでいた。
それでも一ノ瀬は無表情のまま。
こういうすかしたところが
気に食わない。
「そうだよっ。伝える勇気もねーよ。関係壊したくねぇんだよ!お前に何がわかる?俺は麗が好きだっ!!」
そう言うと一ノ瀬は
間髪空けず口を開いた。
「…俺は麗が好きだ」
「真似すんじゃねぇ!」
まじでむかつく男。
「真似じゃないよ」
「………は?」
「手、離してくれない?」
一ノ瀬は表情を
変えずに俺を見た。
その目を見ていることができなくて
俺が手を離すとそのまま制服を直して
学校に向かって行った。