最愛〜最高の涙を君と…〜






「颯ね、最近ちょっと変わったなって思ってたのよ」

「…………変わった?」

「前は家に帰ってくることなんてほとんどなかったんだけど…最近は毎日帰ってきてて“ただいま”って言ってくれてたのよ」




そんな些細な事が嬉しくてね。
なんて言いながら
颯のお母さんは微笑んだ。




その笑顔が颯にそっくりで、
あたしは涙が出そうになった。





「元々口数の多い子じゃなかったんだけど、最近は少しずつ会話も増えてて…」




そう話す颯のお母さんの目には
うっすら涙が滲んでいた。




「ふふっ、ごめんなさいね……」




初めて見たときより
随分と痩せている。




「もっと、聞かせてください」




颯の話が聞きたかった。



それから、家での颯はこんなんだとか
小さい頃の颯の話とか
色々な話を聞かせてもらった。







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