最愛〜最高の涙を君と…〜
「ごめんなさい、一人でたくさん話しちゃって」
鼻を啜りながら
颯のお母さんは笑った。
「……いえ。聞けて良かったです」
どうして、笑えるんだろう。
辛いはずなのに…。
あたしは………あれから全く笑えない。
「あなたのお陰なのね」
「………え?」
「颯が変わったの。きっとあなたのお陰よ」
「あたしは、なにも…………」
あたしはなにもしてません。
そう言おうとした瞬間。
握りしめていた両手を
颯のお母さんが包んだ。
「辛いけど、颯を信じて頑張りましょうね?」
「え?」
「颯はきっと今すごく、苦しいと思うの。だけど絶対、頑張ってるわ…………生きるために」
「……………」
「だから、私たちもいつも通り、颯を笑って迎えれるように頑張らなくちゃ。ね?」
強い人だと思った。
あたしの何倍も颯と過ごしてきて
あたしの何倍もきっと辛いはず。
それなのにあたしを励ましてくれている。
「…………っ、はい」
あたしは、泣きながら
力強く頷いた。