最愛〜最高の涙を君と…〜
採用?
「ここ」
着いた場所は駅前の
大通りから少し外れた
路地にある小さなお店。
レンガ造りのレトロな雰囲気。
少し年期の入ったところも
なんだかお洒落だった。
外観に見惚れていると
一ノ瀬颯が木の扉を開けて
中に入っていった。
もちろん手は繋がれたままなので
あたしも一緒に中へ入る。
テーブル席が6つに
10人ほど座れそうなカウンター。
そしてカウンターに立っている
男の人がこっちを見て叫んだ。
「おい、颯!!てめぇ!この忙しい時に牛乳買いに行くのに何時間かかってんだコラっ!」
「そんなカリカリしないでよ。カルシウム不足なんじゃない?はい、牛乳」
「おおさんきゅ、って!!なんでてめぇはそんなに生意気なんだよ!って、お?」
一ノ瀬颯に向かって
怒っていた男の人と目があった。
あたし達の手は繋がれたまま。
「はは~ん。颯、てめぇやっと本命の彼女ができたか。えっらい、べっぴんさんじゃねーか」