綺羅☆きら☆
けど、それを出すにはまだ彼女は子供過ぎるからだ。
「無垢って、厄介だな」無意識に口を付いた。
しまったと思ったが、言い訳を言う前に、言い訳する相手に答えられる。少し、自分の間抜けさに笑いが出た。
それを、自分で自分を無垢と呼んだ照れ隠しかと勘違いしたのか彼女が
大人ぶった言い方で、フォローし始めた。
「私もそう思うけど、無垢なアンタも好きだよ…ああ、好きって言ってもさあ、色々あって。アンタには判んないかな?
やっぱり、たまには少女マンガ読んで…」
続きを言いかけた刹那、彼女の発した言葉に覆い被さるように音が響いた。
「………。」
そう音、彼は言葉を発したのだが彼女には音としか認識出来なかったのだ…。
「何か言った?」
彼女の呑気な言葉に彼は面食らった。
コイツ、マジヤバい…何であのタイミングで、
あれ聞き逃すかな…。
「ウワア、面倒くせぇ」言った瞬間、しまった
と思った。多分、この発言で完璧喧嘩が始まる。コイツは怒らすと後が面倒くさい。
引きずるタイプでは無いが、自分が言った発言。ようするに、攻撃的な言葉に対して、倍以上の攻撃的言葉を返せる、負けん気の強さがある。
しかし、その自ら発っした言葉に対して、責任を持とうとする。
責任感には、必ず傷が伴うのだ。
「泣くなよ…」
発した自分の言葉に対する彼女の反応を見る。
「泣かないよ…。今は、泣く必要ない。
アンタが私を傷付けないの判ってるから。」
言いながら、泣いてる自分が居た。
人は嬉しい時も泣くって聞いた。
理由は、
流す涙の種類が違うから…。成分とか、場所とか超越したモノ。
多分、嬉し泣きが一番
感情表現の中で完璧に異質で、なおかつ原始的なのかも知れない。
「ホント、イヤになる位面倒くせぇな…泣くなって言っただろう…。
お前って、俺の言うこと一度も聞いた事ないよな…たまには聞けよ。」
抱き寄せたいけど形が無い。この状態も面倒くせぇ。まあ、それが嫌いじゃないかな。」
俺が答えると
「感情として変じゃない?」
コイツは首を傾げながら聞いてきた。
「さあねぇ。俺はそう思うだけだし。」
「フーン。」

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