メガネ王子

頬から繋がった痛みで、あたしは諦めなければならないんだと悟った。

「優来。お母さん、優子は……



もう、だめなんだよ。」


もう、だめ??
あたしの目からさらに勢いよく涙が溢れる。

「うぁぁぁぁぁぁあん」

あたしは、子どものように声を出して泣いた。

「先生!患者さんの意識が戻りそうです!!」

お母さんは、ハァハァ言いながらも目を少しあけた。

「お母さぁん!!?」
「優来…。ゴメンね、、、」
「ゴメンって何が?!」
「お父さん、優来をよろしくね…。
優来、わがまま言っちゃダメよ…?」
「分かってるっ!安心してね!」


本当は、死んじゃだめって言いたかった。
逝かないでって言いたかった。
だけど、仕方ない事だから。

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