君の笑顔、独占中。



……。


学校を出てから数分。

未だ離れない手。


「あのさ…手、放してくんないかな」

「……」


……無視ですか。


「どこ行くの?」

「由秋が行きたいとこ」


……答えるんですか。


「どこ行きたい?」

「家に帰りたい」

「じゃあ由秋んち行こっか」

「うそごめん。駅前のアイスクリーム屋さん」


こいつめんどくさい…。

行きたいとこを言うと、手首を掴んでた手を放して、あたしの手に絡めた。



「何してんの、放してよ」

「やだよ。今日一日由秋は俺の思い通りだから」

「意味分かんないんだけどっ」

「ああ。バカだから?」

「うーざーい」


前のあたしなら振り払ってた。きっと。


何で、振り払えないんだろう。
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