君の笑顔、独占中。
「ああああっ!大事な一口目っ!」
「ぷっ、由秋子供っぽーい」
「うっさいバカ!」
あいつが作りものじゃない笑顔を見せるから。
居心地が悪くなって、バシッとあいつを叩いて、あたしもアイスを口にした…んだけど。
これって。これって。間接キス、じゃない?
「どしたの?顔赤いよ」
「別に。見ないでよ」
てか、嫌いなあいつと普通に会話して、一緒にアイス食べて。こんなのあたしじゃない。
まだ繋がれた手を無理矢理放した。
「由秋?」
「帰る。アイスありがと。じゃ」
「え…ちょっ」
待って、って叫ぶあいつの声を無視して走った。
こんなのあたしじゃない。これ以上あいつといたら、あたしがあたしじゃなくなる。
口の中に広がるアイスの味が甘すぎて。
このアイスは二度と食べない。って、決意した。