君の笑顔、独占中。
「俺の顔、何かついてる?」
首を横に振った。
「じゃあどうしたの?」
「や、だって…笑ったから」
「へ?俺いつも笑ってるよ?」
「うん、だけど…」
いつもの作りもののじゃなくって。
あり得ないけど、あり得ないんだけど。
ほんとの笑顔に見えたから。
「そ、それよりっ!何で図書館?」
あたしは慌てて話をそらした。
「あのね、由秋に勉強教えてあげようと思って!」
「はあ?」
「平均20点じゃ大学行けないよ、由秋ちゃん♪」
「あんたって、相当うざいよね」
「ひどーい!俺の好意を!」
あいつはぷんぷん怒ったふりをして。
けど、いつものあいつに戻ってて。
あたしもいつものあたしを演じる。
名前も知らないこの気持ちを隠して。