* promise *
『あのさ、』

「悪いけど、説教なら後にして」



呆れた顔をするヒロの言葉を遮り立ち上がると、背を向け歩き出す。



『なぁ…』

「だから、説教ならまた今度にして」



これ以上一緒にいたら、きっと八つ当たりしちゃうから。



『鞄、忘れてるけど?』

「あ…」



勢い任せに立ち上がったから、鞄を忘れていた私。

振り返ると、立ち上がったヒロがゆっくり私の元にやってきた。



『ほら』

「…どうも」



恥ずかしさと惨めさが入り交じり、まともに顔を見れないまま渡された鞄を受け取ると、不意に腕を捕まれ鞄ごと引き寄せられる。



―トクン...トクン...

規則的に波打つヒロの鼓動。

体温も心地よくて、落ち着いていくのがわかった。



『…あんまり無理すんな』



“辛いなら、泣けばいいだろ”ボソッと呟いたヒロは、そっと私の頭を撫でる。

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