青空バスケ
俺が部長をやりたくて暁弥を追い出したなんて真っ赤な嘘。
それは二年も三年も分かってる。
アイツらは一緒に暁弥が出ていくところを見てたんだから。
……だけど、一年の間ではその噂が広まってしまった。
何となく……一年が自分に向ける視線が変わったように感じた。
「気にすんな。
あんなの大嘘なんだからよ」
ムラケンも他の三年もそう言ってくれた。
……だけど、俺に関する噂は留まることを知らなかった。
「高瀬先輩が中山さんを追い出して、去年試合負けたらしいぜ」
「うわっ、何それ。
追い出すぐらいだったら勝てよって話だよな」
「引退した先輩にとっては最後の大会だったんだろ?
可哀想ー」
「岬先輩と付き合ってるっていうの、本当かな?」
「この前岬先輩に聞いたけど、違うって言ってたぞ」
今度は俺と栞奈の関係に対する噂が出回った。
「どうやら高瀬先輩は一方的に岬先輩に迫ってるらしい」
何だよそれ、って先輩達が聞いたら笑うだろうな。
大和は迫るどころかヘタレてるって。
……だけど、これに関して信じたのは一年だけじゃなかった。