青空バスケ

毎日毎日声を枯らしてる。

声を枯らしたところで、誰一人言うことを利かないけど。


「はいはい!
みんな集合!」


ムラケンが言うと、みんな渋々集まってくる。


「はい、大和」


ムラケンからのパス。

……だけど、俺が喋り始めるとすぐに騒がしくなる。


「今日のメニューは……」

「なー、知ってる?
この前聞いたんだけど……」

「石尾、静かにしろ!」


……石尾は俺の方を睨んできた。

こんなの最近はしょっちゅうだったから大して気にしない。

……けど


「……弱いクセにでしゃばんなよ」


……弱い?

俺が……?

……確かに暁弥には一度も勝ったことねぇよ。

自分が強いとも思ってねぇよ。

……でしゃばんな?

……ふざけんなよ、誰のせいで毎日毎日怒鳴ってると思ってんだよ。


……前を見れば、思い思いに喋ってる部員達。


……何かもう、どうでもよくなってきた。


「……勝手にしろよ」


小さな声でそう言った。

どうせ誰にも聞こえてないだろう。

……もう疲れた。


「お、おい、大和?」

「……ムラケン、後は頼む」


……俺は静かに体育館を出た。

中学に入ってから部活を早退するのは始めてだった……。

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