青空バスケ
はぁ、とため息をつく。
……上手くいかねぇ。
未だに秀華優勢。
先輩達が点を入れてくれてるが、逆転はできていない。
……このままじゃマズイ。
何とかしてあの人を……谷先輩を抜かなきゃ……。
でも、どうやったら……
……確かあの時は、途中で栞奈が通りかかって俺の名前を呼んで……
「大和」
「うおっ!
……ビックリした」
本人が来た……。
そんなに驚かなくても……と栞奈が言う。
「なあ……この前の谷先輩との1on1、どこから見てた?」
「え?
んー……ちょうど大和が先輩を抜いたところかな」
「その時の俺、どうやって抜いてた?」
うーん……と栞奈が考え込み始める。
あの時の俺……栞奈に名前を呼ばれた瞬間に……何があったんだ。
気がついたらボールが入ってた。
気がついたら先輩を抜いてた。
……自分でも無意識の内に。