青空バスケ
「……栞奈」
ベンチに戻ると、栞奈が笑顔でタオルを渡してくれた。
「お疲れさま」
……また、守れなかった。
約束……連れてくって言ったのに。
栞奈は一人一人に声をかけながらタオルを渡していた。
あぁ……終わったんだなって思った。
終わった……。
俺達の夏が……
……今、終わった。
荷物をまとめて帰ろうとした。
監督の後に続いて体育館を出る。
……みんなの元気はなかった。
……あと一歩。
本当にあと一歩だったのに。
……体育館を出て少し行くと、先輩達三人が突然足を止めた。
「先輩……?」
「監督、俺達ちょっと忘れ物したんで先に行っててください」
「……あぁ」
そう言って鳴瀬先輩と南雲先輩と相沢先輩は体育館の方に戻っていった。
忘れ物……?
ベンチの付近には何もなかったはず……。