青空バスケ
『新着メールはありません』
ケータイに映し出された文字にあたしは小さくため息をつく。
あの日、アキ君にメールを送ったけど……未だに返信はない。
「アキ君……今どうしてるのかな」
大和とアキ君が仲違いしてしまったあの時……。
あれからのアキ君をあたしは知らない。
目を閉じると思い出すのは楽しかったあの日々。
過去には戻れないけど、今でも前みたいに仲良くできないのかな……って思う。
大和はアキ君の名前を聞くだけで顔をしかめるけど……本当はアキ君のことが大好きだから。
あたし、知ってるよ。
あの時……アキ君がバスケ部を辞めたあの日……大和が泣いてたこと。
アキ君がいなくなって一番寂しかったのは大和だから。
「栞奈?何してんだ?」
「へ?あ……何でもない!」
あたしは慌ててケータイをカバンにしまった。
「もうすぐ試合始まんぞ」
「うん。……あ、大和」
「ん?」
「頑張ってね!」
あたしがそう声をかけると、大和は小さく笑ってガッツポーズを作った。
「おう!」