青空バスケ

次の日の朝練のことです。

前日に負けたこともあって、ちょっと暗かったみんな。

そんなみんなの前にある人が姿を見せました。


「……アキ君」


制服姿のアキ君です。

いつもなら時間より早めに来て、さっさとユニホームに着替えて一人自主練をしているのに……その日は遅刻で、着替えてすらいませんでした。


「暁弥、昨日どうしたんだよ。
具合悪かったのか?」


心配そうに大和が聞くと、アキ君は大和を一瞥して小さくため息をつきました。

大和や先輩達が不思議そうにアキ君を見つめる中、アキ君は思いもよらぬ発言をしました。


「俺、部活辞めるから」


全員がポカンとした表情でアキ君を見ていました。


「……は?
何言ってんだよ、お前……」

「何かもう飽きた」

「暁弥……?」

「俺さぁ、自分より弱い人達とチーム組んでやりたくなかったんだよね」


アキ君の言葉に全員が驚きました。

だって、アキ君はそんなこと言う人じゃなかったから。

確かにアキ君が一番強かったけど、仲間とバスケをすることを誰よりも楽しむ人だったから。


< 58 / 201 >

この作品をシェア

pagetop