青空バスケ
次の日の朝練のことです。
前日に負けたこともあって、ちょっと暗かったみんな。
そんなみんなの前にある人が姿を見せました。
「……アキ君」
制服姿のアキ君です。
いつもなら時間より早めに来て、さっさとユニホームに着替えて一人自主練をしているのに……その日は遅刻で、着替えてすらいませんでした。
「暁弥、昨日どうしたんだよ。
具合悪かったのか?」
心配そうに大和が聞くと、アキ君は大和を一瞥して小さくため息をつきました。
大和や先輩達が不思議そうにアキ君を見つめる中、アキ君は思いもよらぬ発言をしました。
「俺、部活辞めるから」
全員がポカンとした表情でアキ君を見ていました。
「……は?
何言ってんだよ、お前……」
「何かもう飽きた」
「暁弥……?」
「俺さぁ、自分より弱い人達とチーム組んでやりたくなかったんだよね」
アキ君の言葉に全員が驚きました。
だって、アキ君はそんなこと言う人じゃなかったから。
確かにアキ君が一番強かったけど、仲間とバスケをすることを誰よりも楽しむ人だったから。