青空バスケ
「最初はいいかなって思ってたけど、やっぱムリだわ。
弱いし、俺がいるだけムダっつーか」
「暁弥!!」
「事実だろ?
文句あんなら一回でも俺に勝ってから言えっつーの」
そう言ってバカにしたように鼻で笑うアキ君。
大和を始め、他の部員達もアキ君を睨み付けていました。
「あ、先輩。
これ返しますよ」
そう言ってアキ君が差し出したのはユニホーム。
……だけど、誰も動こうとはしなかった。
誰も受け取らないとみると、アキ君は舌打ちをしながらユニホームを床に投げ捨てました。
「お、いいもん見っけ」
そして、たまたま床に転がっていたボールを拾うと、ニヤッと笑ってあたし達の方にボールを投げてきました。
それはもう豪速球。
「痛っ!!」
そしてそのボールは……一年生に当たってしまいました。
アキ君のあの時の驚いた表情……アキ君は本当に誰かに当てるつもりはなかったんだと思います。
あのまま誰も動かなかったら、誰にもボールが当たらないところにアキ君は投げてましたから。
だけど、突然ボールを投げられて驚いた一年生が避けようと思って動いたら当たっちゃったんです。
「お前……!!」
だけど、そのことで完全に大和の中で何かが切れました。
自分達を貶され、仲間を傷つけられ、我慢できなかったんです。
それはあたしも同じでしたけど。