青空バスケ
……何が起こったのか自分でもよく分からない。
ただ、シュッという音を立ててボールがゴールリングを抜けて落ちてきた。
……入った?
……勝った?
「マジかよ……」
谷先輩もポカンとしながらボールを見つめていた。
「……えーっと……俺の勝ち……ですよね?」
「聞くなよ。
完全にお前の勝ちだろ」
「あの……今、俺……先輩のこと抜きました?」
「抜いたから入ったんだろ。
……って、え?
今の無意識?」
俺が苦笑いしながら頷くと、先輩はため息をつきながらある方向を見た。
「名前呼ばれただけで力発揮するとか……お前、どんだけ好きなんだよ」
「いや……本当に俺も何が何だか全く……」
何か急に力が湧いたと思ったらボールが勝手に……。
「栞奈」
先輩が未だボーッと突っ立ってる栞奈を手招きで呼んだ。