青空バスケ

「……でも、手加減してたと思うんですよね。先輩。
あの人、ちょいちょい笑ってたし……俺が疲れてたの知ってたから。
寧ろ、俺の体を心配して様子見に来てくれてたんですよ」


だから……と大和は言葉を続ける。


「疲れてたとはいえ、手加減した状態でもギリギリだったんです。
……あの人が本気を出したら、どうなるか分かんないですよ」


ゴクリ、とみんなが唾を飲む。


……大和が怖いと言うDF。

それは谷先輩のDFだけ。


この前の1on1はボールが入ったところしか見てないから分からないけど、中学の時の谷先輩のDFは手強かった。

……あれがパワーアップしてたら。

そう考えると本当に恐ろしい。


「……よし!!
準決に向けて気合い入れるためにアレ食うぞ!!」


鳴瀬先輩の言葉にみんなが首を傾げる。


「栞奈、もちろんあるよな?」

「はい!準備万端です!」


あたしが取り出したパッケージを見て大和が顔を歪めた。


「栞奈、お前っ……それっ……」

「抹茶豆腐ヨーグルト……」


大和が三日間頑張ってたのを見てた先輩達もすぐに何か分かり、拒否反応を示した。


「愁!ダメだ!
コレはダメだ!」

「何言ってんだ。
糖分は疲労回復にも良いからな」

「回復する前に俺ら死にます……!!」

「栞奈!
全員の口に突っ込め!」

「はい!」

「ちょっ……先輩、鬼畜……!!」

「負けたらコレ×10食わせるからな!」


絶対に負けられないと心に誓った部員達であった。


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