青空バスケ
そもそもこうなったのはほんの2、3分前のこと。
今日は栞奈が教室におらず、蓮と二人で部活に来ていた。
だけど部活が始まる時間になっても栞奈が来なくて心配していたところ……
『……栞奈?』
走りながら体育館にやってきた栞奈。
俺の姿を確認すると、そのまま抱きついて泣き始めた。
その状態から何も進まず今に至る。
「かーんな」
名前を呼んで抱きしめ返してやれば、少しだけ反応した。
昔から泣き虫だったから、何となく対処法は知ってる。
だけど、何か喋ってくれないと……困る。
そっと頭を撫でると、ようやく落ち着いたみたいで目元が真っ赤になった顔を上げた。
「……ひくっ……大和っ……」
「はいはい」
俺の服を掴んで離そうとしない。
ちょっと動こうとすれば、イヤイヤと首を振る。
……何この可愛い生き物。