tearless【連載中】
現在×過去
窓からオレンジ色の光が差し込み、璃琥の顔を照らし始めた頃。



『…行くか』



ソファーに預けていた背中を起こすと、腕を上に挙げ体を伸ばした璃琥。

捲られたYシャツから伸びる腕がすごく綺麗に見えた。



“この腕に私はいつも守られてるんだね…”



初めて逢った日もこの手で男殴ってたし、雨に濡れた日もこの腕に引かれてた。

抱きしめてくれた腕も髪に触れる指先も全てが愛しくて…。

璃琥が隣にいるんだって思えたんだ。



『座ってねーで行くぞ』



いつの間にか立ち上がっていた璃琥が私を見下ろす。



「この辺スーパーあるの?」

『あんじゃね―の?』

「知らないの?」

『俺、買い物行かねーし』



当然の様に言葉を吐くと、テーブルに置いていたカードキーと財布をポケットに押し込め、また先に行ってしまった。

私も鞄から財布を出すと、それを手に璃琥の後を追う。



『お前は財布要らねーだろ?』



玄関のドアに手を掛けた時、後ろを振り返った璃琥が私の手に視線を落とし呟いた。



「たまには私にも買わせてよ?」

『置いてけ…』



そんな事言われたって、私は持ってくから。

璃琥にばっかお金遣わせられない。


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