tearless【連載中】
理由は言わなかった。

万が一、変な噂になったり、バイト先に押しかける様な人が現れたら璃琥に迷惑が掛かる。

…でも、駅前のカラオケ屋でバイトしてて誰にも気付かれた事無いのだろうか?

ふと思った疑問。

結局の所、私も詳しくは知らないんだよね…。

ただ“駅前のカラオケ屋”って事だけで。



『葵達って、お互いの事どんだけ知ってんの?』



そう放った結衣の言葉が心にグサグサと突き刺さる。



“どんだけ知ってんの?”



私…璃琥の事、どれだけ知ってるんだろう…?



「何も知らないのかも知れない…」



ただ目の前にいるお互いを求めてるだけで。

正直気にはなるけど、過去には触れちゃいけない気がして…。

お互いがそれぞれ話してくれるのを待ってるかの様なんだよね…。

自分自身が過去を話せないでいるから尚更…。



『訳ありの2人…か…』

「ははっ…」



正直笑えない…。

顔がひきつってるのが自分でも分かるもん。


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