tearless【連載中】

「私達らしいか…」



ふっと笑みを漏らすと、パチンと携帯を閉じポケットに滑り込ませる。



『葵のそんな顔初めて見た…』



懐かしい声にバッと顔を上げると、そこには苦笑いを浮かべた真那斗が私を見下ろしていた。

茶色の髪は光に照らされキラキラと輝き、着崩した制服もあの時のまま変わらない。



『アイツと上手くいってんだ？』



私の前の席に腰を下ろすと、横を向いたまま背中を窓に預け足を組む真那斗。

教室に残っていた数人の生徒達は私が真那斗と居るのを変に思ったのか、チラチラ見ては何か話してるみたいだ。



「で？何？」



なるべく気にしない様にしながら冷たく言い放つと“やり直さねー？俺達”唐突にそんな事を言い出した。



「ちょっ、何言ってんの…？」



全く予想してなかった事態に、聞き間違いじゃないかと自分の耳を疑う。



『やっぱお前じゃなきゃダメみたいなんだよ…』



でも、続いて聞こえた言葉に“聞き間違いじゃない”そう思うしか無かった。