tearless【連載中】
真那斗といえば、自分の足元をジッと見据えながら曇った表情を浮かべている。

いつも太陽みたいに笑う姿しか見た事無かった私は、不覚にもその表情に胸が苦しくなってしまった。



「先輩は…?」

『別れた』

「…好きだったんじゃ無いの?」

『好きだった…けど、お前とアイツが一緒に居んの見て、苦しくなる自分がいたんだよね…』



“振ったのは俺なのにな?”



フッと呆れた様に息を吐くと、ゆっくり視線を私に向けた。

その瞳はすごく悲しげで、痛々しい。



「そんな顔しないでよ…」



私、アイツと別れてから真那斗の笑顔にずっと助けられてたんだよ?

告白の返事した後に見せたあの笑顔、今でもはっきり覚えてる。

暗闇にいた私にパアッと光を照らしてくれたんだから…。



『アイツと付き合ってんの?』



組んだ足を下ろし私の机に腕を乗せると、ゆっくり近付いてくる真那斗。

反射的に私も体を反らして何とか距離を保つが、正直ヤバいと感じていた。



『俺の事、嫌い?』



そう口にしたのは私の背中が“トンッ”とイスに当たった時。

切なく揺れる瞳が私を捉え、逃げ場を失った不安感からゴクリと息を呑む。


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