tearless【連載中】
「ごめん…。私、璃琥の事好きなの」



その瞳を真っ直ぐ見つめ答えると、ピタリと止まった体。



『やっぱダメか!!』



腕を高く上げ体を伸ばすと、いつもの笑顔にもどった真那斗は再び窓に背中を預けた。



『ごめんな?』



明るくそう言ってたけど、やっぱりどこか悲しく見えたのは私の気のせい…?



『帰っか…』

「う…ん…」



立ち上がる真那斗の姿を横目に教室に視線を移すと、さっきまで居た生徒達もいなくなり、もわんとした空間には私達だけになっていた。



“はぁ…”



声に出さない様に溜息を吐くと、机の横に引っかけられている鞄を取る。



『葵…』

「何?」



振り向くと、不意に重なった唇。

本当に、一瞬の出来事だった。



『じゃーな…』



笑顔でそう言うと、私に背を向けた真那斗はドアに向かって歩いていく。

あの日と同じ様にただ茫然と後ろ姿を見ていたが、廊下に出た時一瞬見えた横顔に思わず“まなと!!?”そう叫んでいた私。



でも、真那斗の足音はだんだん小さくなり消えていった。


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