tearless【連載中】
「何泣いてんのょ…」



振ったのは真那斗じゃない…。

“仲良くやれよ?”そう言ったのも真那斗じゃんっ!!



「何で……」



視線を机に戻すと唇を手の甲で拭う。

私は、呼び止めて一体どうしようとしてたんだろうか…。

結局、答えは一緒なのに…。



『葵ちゃん…』



その時、聞き覚えのある優しい声が私の名前を呼んだ。

恐る恐るドアの方に振り向くと、静かにこっちに歩いてくる雅貴先輩。



…何で此処にいるの?

…いつから居たの?

…キスしたトコ見られた?



目を泳がせながら、色んな事を考える。

そんな中、どんどんはっきりしてくる姿に、耐えきれず視線を落とすと“ドクン、ドクン”と激しく高鳴る鼓動を感じながらただ固まる私。

ペタペタと足音が近付き、落とした視線に上履きが入り込むと、鞄をグッと握りしめ“何を言われるのだろう”と不安と恐怖で一杯になった。


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