tearless【連載中】
でも、私の瞳に映り込んだのはフワッとした笑み。
しゃがみ込んで私の視界に入り込んだ先輩は、頭にポンと手を乗せると“大丈夫?”そう言ったんだ…。
大きくて、温かい。
璃琥みたいな力強さは無くて、すごく、すごく、優しかった。
『帰ろ?送るから…』
ゆっくり手が離れると、立ち上がった先輩はただ微笑む。
「あの…」
『いーから』
私の腕を掴み、強制的にイスから立ち上がらせるとすぐ手は離された。
『璃琥に殺されるかも』
ふざけながらそんな事を言う先輩に自然と漏れた笑み。
『行こ?』
「はい…」
夕日が照らし始めた教室を出ると、廊下には2人分の足音だけがやけに大きく響く。
ちょっとの距離なのに、時々振り返りながら足を進める先輩は本当に優しいと思う。
無言のまま駐輪場に向かうと、ポツンと1台だけ置かれたシルバーの自転車。
『鞄貸して?』
「大丈夫ですよ…」
そう言ったけど、結局カゴに収まった2つの鞄からは、やっぱり紐がだらんと垂れていて…。
微笑みながら、璃琥に送ってもらった日を思い出していた。
しゃがみ込んで私の視界に入り込んだ先輩は、頭にポンと手を乗せると“大丈夫?”そう言ったんだ…。
大きくて、温かい。
璃琥みたいな力強さは無くて、すごく、すごく、優しかった。
『帰ろ?送るから…』
ゆっくり手が離れると、立ち上がった先輩はただ微笑む。
「あの…」
『いーから』
私の腕を掴み、強制的にイスから立ち上がらせるとすぐ手は離された。
『璃琥に殺されるかも』
ふざけながらそんな事を言う先輩に自然と漏れた笑み。
『行こ?』
「はい…」
夕日が照らし始めた教室を出ると、廊下には2人分の足音だけがやけに大きく響く。
ちょっとの距離なのに、時々振り返りながら足を進める先輩は本当に優しいと思う。
無言のまま駐輪場に向かうと、ポツンと1台だけ置かれたシルバーの自転車。
『鞄貸して?』
「大丈夫ですよ…」
そう言ったけど、結局カゴに収まった2つの鞄からは、やっぱり紐がだらんと垂れていて…。
微笑みながら、璃琥に送ってもらった日を思い出していた。