tearless【連載中】
『あいつ、変に鋭かったりすんだろ?』

「…はい」

『今日さ…、アイツ1日悩んでた』



雅貴先輩のその言葉に“ズキン”と胸が痛んた私。



“知ってて、また何も言わなかったんだ…”



それは璃琥の優しさ?

それとも、言ってくれるのを待ってたの…?



『心配だったんだろーな?自分が行けないからって俺を変わりに行かせんだからさ…』



そう話す雅貴先輩は微かに笑っている様だった。



「…やっぱり私って最低ですね…」



璃琥…ごめんね?

謝ってもキスした事実は消えないし、黙ってた事で傷付けたよね?

もし私が璃琥の立場だったら、絶対傷付いてた…。

こんな事にも気付かないなんて、本当…バカだよ…私。



『もっと璃琥に頼ったら?自分で抱え込むんじゃなくてさ…』



“男って、結構そーゆうの嬉しかったりすんだよ?”そう付け足すと、私に笑顔を向ける。



「先輩が羨ましい…」



素直に感情を表現出来て、裏表無く誰にでも優しくて…。

きっと心が綺麗で真っ直ぐなんだろうな…。



『そ?』

「そーです…」



私なんか、余計な事ばっか考えちゃって結局裏目に出ちゃうから…。


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