tearless【連載中】
『でもさ、そんな不器用な葵ちゃんに璃琥は惚れたんじゃない?』

「不器用…」

『2人共不器用だから、俺が大変だけど…』

「本当、すいません…」



こんな会話をしてると、あっという間に私のマンション前。



「先輩、よく家が分かりましたね?」



そーいえば、道を教えていなかった事に今更ながら気付いた私。



『璃琥にしつこく教えられたから』



なるほど…。

なんて感心してると、カゴから取り出した鞄を渡された。



「わざわざ、すいませんでした…」



ぺこりと頭を下げると“葵ちゃんは璃琥の事好き?”ポツリと呟いた雅貴先輩。

夕日に照らされたその姿に視線を向けると“好きです…”はっきりそう答えた。



『その気持ち、璃琥にちゃんと伝えてやって』



“あいつ、マジだから…”そう言うと、手をヒラヒラと振りながら来た道を戻っていった。



「璃琥…ごめんね…」



夕日に染まる背中を見送ると、マンションに入りエレベーターのボタンを押した。


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