tearless【連載中】
久しぶりに感じた凍りつきそうな視線。



―ドクン、ドクン、ドクン...



…怖い…。

真っ直ぐ見つめるその瞳が。

アイツと同じその瞳が…。



一歩、二歩、と後退りすると、2人に背を向け走り出す。



…怖い…。



……怖い……。



………怖い………。



ガクガク震える体に転びそうになりながら、階段に足を掛けた時。



『ちょっと待て』



言葉と共に、ガシッと腕を掴まれた私は動けなくなってしまった。

もちろん止めたのは璃琥。



『ちょっと来い』



掴まれた腕を引っ張られると、階段をどんどん下りていく。

全く振り向く事無く、一気に駆け下りると昇降口で足がピタリと止まった。



「り…く…?」



未だ微かに震える体を抑え口を開くと“靴履け”そう一言呟き、掴んでいた腕を離す。



ジンジンする右腕。

痛い。

心が、震える体が、掴まれた腕が…。



『早くしろ…』



璃琥の声にハッとすると、訳の分からないままとりあえずローファーに履き替える私。



『行くぞ』



また先に出て行ってしまった璃琥の後を追い入り口を出た時。



『新条!!どこ行くんだ?』



そんな声が聞こえた。

振り向くと、黒いジャージを着た、がたいのいい先生が璃琥をジッと見据えている。


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