tearless【連載中】
「り…く…?」

『ん?』



リビングに入ってやっと交わした一言。

振り向いた璃琥は、穏やかな表情をしていた。



『肩…平気か?』



ソファーに座るなり、そう呟いた璃琥の瞳はすごく優しくて…。

ホッとした私の視界が少し揺らいだ気がした。



『そんな顔すんな…』



腕を引き寄せられると、大きい胸にすっぽりと収まった私。

未だ震えの止まらない体をそっと抱きしめてくれた。



『悪りぃ…』



たった一言。

でも、その言葉が私の心にスーッと染み込み、少しずつ震えがおさまっていくのが分かる。



「バカ…」



…怖かった。

すごい怖かったんだから…。



私も腕を回すとギュッとしがみつき、顔を埋める。

温かくて、ちょっと煙草の香りがする璃琥。

いつもと同じ事にすごく安心した…。



「…っ」



安心して、緊張が解けたからだろうか?

…肩が、ズキズキと痛みだす。


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