tearless【連載中】
『とりあえず出ろ…』



でも、そんな私に向けられたのは鋭い視線。



…威圧感。



次の言葉は強制的に喉の奧へと追いやられてしまった。

私は仕方なくポケットに手を滑り込ませると、未だ鳴り響く携帯を取り出し、開くと通話ボタンを押す。



“やっと出た…”



耳に当てると、受話口から聞こえた第一声がこれ。

呆れた声に“ごめん…”としか言えなかった。



“で、先輩と一緒?”

“うん…”

“ちゃんと話せた?”

“…ううん…まだ…”

“だろうね…”



状況を察したのか相槌を打つと、あれからの事を話してくれた。



先生はとりあえず保健室で手当てをした後、病院に向かったらしい。

で、璃琥…。

“まだ分からないけど、無期停だろうって…”

予想通りの言葉に“うん…”それだけ口にした。

普通なら退学も辞さない行為。

でも…無期停…。

親が絡んでる事は先生の言葉からも読み取れたが、いまいちピンと来ない…。


< 180 / 230 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop