tearless【連載中】
“今日どーする?別の日でもいいよ?”



結衣の言葉に璃琥へ視線を向けると、ちょうど加えた煙草に火を付ける所で。

ライターを持つ手はやっぱり赤くて痛々しかったけど、それ以外は何ら変わりない姿。

体を深くソファーに沈め煙を吐き出す璃琥は確かにいつもと一緒なのに…。

…何でこんなに距離を感じるんだろ…?



「…ごめん。また今度でもいい?」



やっぱりこんな気持ちのままじゃ、結衣にちゃんと話なんか出来ない…。

自分から話すっていったのに、本当ごめん…。



『貸して…』



突然口を開いた璃琥は、手を私の前に伸ばし“携帯…”そう呟く。

よく分からないまま耳から携帯を離すと、私はそっと手のひらに乗せた。

許否するだけ無駄だと分かってたから、敢えて抵抗はしない。

静まり返った空間に煙草の匂い。

ゆらゆら昇る煙は遥か上にある天井につく前に消えてしまう。

そんな中で璃琥は携帯を耳に当てると、視線は窓に向けたまま結衣と話し始めた。



“森山?”

“いいよ…”

“あぁ…”

“頼む”



交わしたのはこれだけ。

1分弱の短い会話であっという間に終わりを告げた。


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