tearless【連載中】
終話ボタンを押し、閉じられた携帯を私に返す璃琥。

まだ、結衣と話を終えてなかった私は困惑の色を隠せない…。



『森山呼んだから』



更に、追い討ちをかけるように璃琥はそう言うと、再び煙草を口に加え煙を吐き出す。



「意味…分かんない…」



勝手に話進めて、言うのはそれだけ?

言葉が少なすぎて理解出来ないよ…。

…それに、璃琥に話あったのに…。



『バイト終わったら話聞くから、それまでここで待ってろ…』



“森山にも話あんだろ?”フッと笑みを漏らすと、体を起こし煙草を灰皿に押し付けた璃琥。

その全てを見透かしたような笑みが、私の脳裏に焼き付き離れない。

璃琥は、私の事どこまで知ってるの?

何で全て分かっちゃうの?



…私も

璃琥みたいに分かったらいいのに…。



そしたら、この距離感を無くせるかも知れないのに…。



「璃琥ばっか…ずるい…」



そう呟くのと同時にインターホンからは音が鳴り響き、私の声はいとも簡単に掻き消されてしまった。


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