tearless【連載中】
それで終われば良かった。

名前も、歳も、住んでる所も…何も知らない、ただの亮太の知り合いとして終われば…。

でも、世間は狭いとは良く言ったもの。

家の近くのコンビニで、再び会ってしまった私達。

会計を済ませ、自動ドアを抜けた私の前に現れた長身の男。



『やっぱそうだ』



そんな言葉と共に、腰を屈め私の顔を覗き込んできた。



pm10時過ぎ。

外は真っ暗だが、コンビニの明かりが顔を鮮明に映し出す。



「あ…」



この顔には見覚えがあった。

左耳に光る3つのピアスにも…。

2日前に会ったばかりの男の顔を忘れる程、バカじゃない。



『覚えててくれた?』

「はぃ…。一応は」

『一応…か』



苦笑いを浮かべながら屈めた腰を戻した祐樹は『今、亮太送った帰りなんだ』そう言って、手を上にあげ伸びをした。



「あの…私、帰りますね」



“アイス溶けちゃうんで”右手に持つ袋を軽く上げて見せると、2日前同様、軽く頭を下げる。

でも『今日は送らせて?』その言葉に、進ませようとした足を止めざるを得なかった。


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