tearless【連載中】
『適当に取って』



そう言う祐樹はビールを持つと、プシュッ、とプルタブをおこし、早速口に運ぶ。

端麗な顔立ちに似合わず、飲み方は豪快で。

“ビール好きなの?”私も梅酒を取ると、蓋を開け一口含んだ。



『酒なら何でも』



ポケットから煙草を取りだし火を灯す姿に、“本当、何しても様になるよね…”全く見当違いな事を思っていた。



『聞いてる?』



返事をしない私に、紫煙を吐き出しながら漆黒の瞳をこちらに向ける。

“うん、聞いてる…”時々見せる鋭い眼差しから逃れる様に、私はお酒を流し込んだ。





祐樹は分かっているのだろうか?

時々見せるその妖しく光る漆黒の瞳に、私が囚われている事を。



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