tearless【連載中】
「ゆうき…、強いね」



あれからどれだけの時間(とき)が流れたのだろう?

テーブルに転がった缶は、10本近くになる。

その内の3本は私のモノだか、祐樹は私より多く飲んでいるのに顔色一つ変えてはいない。

私は4本目を持て余し、見るもの全てがゆらゆらしてるというのに。



『お前と一緒にすんな』

「なっ…」



余裕を見せる祐樹は、“そろそろ止めとけ”私の手に納まる缶を抜き取ると、それを一気に飲み干す。

“甘い…”ボソッと呟くと、濡れた唇を指で拭った。

その姿をソファーにもたれ掛かったまま見ていた私は、今にも瞼が閉じそうで。



『寝る?』



“俺と”耳元で甘く囁く言葉に、深く考えもせず頷いていた。

< 196 / 230 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop