tearless【連載中】
「………、」



肌寒さを感じ、意識朦朧とするなか目を冷ました私。

体中に感じる気だるさに息を漏らしながら起きると、月明かりが射し込む部屋には、私しかいなくて。

散らばった衣服を目にした時、“あぁ…そうだ”甘い痛みを思い出した。

とりあえず服を着ると、祐樹を探し寝室を出る。



「ゆうき…」



静かにリビングに入れば、ソファーに座り紫煙を揺らめかせる祐樹がいた。



シャワーでも浴びたのだろうか。

ワントーン落ちた髪は湿り気を帯び、また違った色気を放っている。



『起きたんだ?』



流し目で私を見る姿はどこか冷ややかで。

祐樹の側に行くのを躊躇ってしまった。



『葵もシャワー浴びれば?』



感情のない声は、どことなく侘しく。

“じゃあ、借りるね?”逃げるように背を向けると、そこ出て左。との言葉に、“わかった”そう呟いた。


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