tearless【連載中】
数分後。

ガチャッ、という音と共に現れた祐樹は“何してんの?”不思議そうに私を見下ろす。



「電話してたみたいだから、邪魔しちゃ悪いと思って」



これでも一応気を遣ったつもりだったんですが…。

肩にかけたタオルをスルスルと滑らせ外すと、意味もなく畳む。



『ふーん。あ、なんか飲む?』



気に止める事もなくキッチンに行くと、冷蔵庫から烏龍茶のペットボトルを取りだし、私の所まで持ってきてくれた。



「ありがと」

『ちょっとやり過ぎたな…』

「え?」



祐樹の視線を首元に感じ、ハッと思い出す。

“見なくていいよっ”私は畳んだタオルを急いで首に巻いた。



『今更だろ…』



“先行ってる”恥じらう私を他所に寝室に戻る後ろ姿を見つめ、急速に冷めていく心にため息。


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