tearless【連載中】

すぐ後ろにいる祐樹に泣いてる事を悟られたくなくて、必死に体の震えと涙を堪える。

意味など無い。と、言われた以上、私の涙も想いも、お荷物でしか無いのだから。



“ふぅ…”深く深呼吸をすると、今日の事は忘れよう。そう心に決め、気持ち事胸にしまい込んだ。



祐樹とは、今まで通り友達で居ればいい。

きっとその内、笑い話に出来る。



無理やり言い聞かせ、ギュッと目を瞑ると“スー、スー”と、規則的な寝息が耳に入る。

ゆっくり体を回し祐樹の方を見れば、こっちを向いたまま眠る綺麗な顔がすぐ目の前にあった。



茶色い髪の隙間から覗く長い睫毛。

少し焼けた肌は祐樹のイメージにぴったりだ。

スーッと伸びた鼻筋も、私を惑わせる唇も、寝ている時でさえ形を崩さず、まるで造り物のよう。



「おやすみなさい…」



これ以上見つめていたら、想いを口にしてしまいそうで。

私はそっと瞳を閉じた。