tearless【連載中】
――…
―――……
「はぁ…」
ため息を漏らすのは、これで何度目だろう。
夏休みに入って始めた居酒屋のバイトも、もう1ヶ月が過ぎ、ようやく慣れてきた私だったけど。
『なに、ため息ばっかついて。彼氏と喧嘩でもした?』
大学生のバイト仲間にからかわれながら、苦笑いするしかない私。
先の見えない祐樹との関係に一抹の不安を抱きつつも離れられずにいる自分がいて。
またため息を吐くと、テーブルを拭きながら時計を見上げた。
“22:55”
あと10分もすれば、裏の駐車場には祐樹が来る。
もちろん彼氏では無いが、お店の人達が勝手にそう思い込んでいつも冷やかしてくるのだ。
それを敢えて否定しないのは、余計な詮索をされたくないから。
気紛れに抱く祐樹を拒みもせず受け入れている自分の一面を、誰にも知られたくなかった。
『葵ちゃん、そろそろ上がっていいよ』
必要以上にテーブルを拭いていた私に掛けられた声。
フキンを片付けると、“お疲れ様でした”メンバーに声を掛け、フロアを後にした。
―――……
「はぁ…」
ため息を漏らすのは、これで何度目だろう。
夏休みに入って始めた居酒屋のバイトも、もう1ヶ月が過ぎ、ようやく慣れてきた私だったけど。
『なに、ため息ばっかついて。彼氏と喧嘩でもした?』
大学生のバイト仲間にからかわれながら、苦笑いするしかない私。
先の見えない祐樹との関係に一抹の不安を抱きつつも離れられずにいる自分がいて。
またため息を吐くと、テーブルを拭きながら時計を見上げた。
“22:55”
あと10分もすれば、裏の駐車場には祐樹が来る。
もちろん彼氏では無いが、お店の人達が勝手にそう思い込んでいつも冷やかしてくるのだ。
それを敢えて否定しないのは、余計な詮索をされたくないから。
気紛れに抱く祐樹を拒みもせず受け入れている自分の一面を、誰にも知られたくなかった。
『葵ちゃん、そろそろ上がっていいよ』
必要以上にテーブルを拭いていた私に掛けられた声。
フキンを片付けると、“お疲れ様でした”メンバーに声を掛け、フロアを後にした。