tearless【連載中】
着替えを済ませ外に出れば、いつもの場所には白いワンボックスカーが見える。

窓から伸びた手には煙草が挟まれ、ユラユラと紫煙を立ち上らせていた。



『お疲れ』

「うん…」



色のない声と眼差し。

今日もまた、私は祐樹に誘われるがまま流されてしまうのだろうか…。



『乗れよ』



体を重ねる為だけに存在する私。

後で傷付くと分かっているのに、それでも傍にいる自分は本当にバカだと思う。



「祐樹…」



でも、このままじゃいけないって事も、いつかは終わりが来るって事も分かってるつもり。



「今日は帰るね」



だから、少しづつ距離を置かなきゃいけないんだ…。

ただの知り合いに戻れる様に。



祐樹の顔を見ぬまま背を向け“おやすみ”いつもはベッドの上で交わす言葉を口にすると、地面に張り付く足をゆっくり進めれば、“そう…”静かな声が耳に入る。

“はぁ…”予想はしていたが、やはり一言で片付けられればズキンと痛む胸。



なんでこんなに好きになっちゃったんだろう。

こんなにも苦しいのに、なんで離れられないんだろう。



“バカ…”



あっさり引き下がる祐樹に、また心には暗い影が落とされていく。



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