tearless【連載中】
あぁ…、また言われちゃう…。

そう思っても、一度溢れた涙は引くどころか次々と頬を伝い落ちる。



“俺、泣く女って苦手”いつかの会話で知った祐樹の嫌いなタイプ。

それを聞いてから、私は無理やり笑顔を張り付けてきた。

それでもやっぱり時々泣きそうになれば、“そんな顔すんなって…”ため息混じりに言うからグッと我慢して。

嫌われない様にって、ただその一心で過ごしてきたんだ。

好きになってもらえなくても、嫌われなければ傍に居られる。

端から見れば馬鹿げた事でも、その時の私にはそれ以外、傍にいる術は無かった。



でもそんな事したって無駄だって事、この数ヵ月で痛いほど分かったから。

嫌われて、貶されて、とことん突き放してもらった方が、目も醒めるかも知れないと思った。

祐樹に受け入れる意思がない以上、私の想いが届く事は一生無いのだから、離れるなら早い方がいいに決まってる。



『泣いてる…』



酷く冷めた声。

振り向いた祐樹の顔は、“面倒くさい”そう言っている様だった。



「もうやめよ…」



“祐樹は、セックス出来れば誰でもいいんでしょ？”だったら私なんか早く切り捨ててよ…。



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