tearless【連載中】
こんな状況でさえ、自分から離れられない不甲斐なさに消えてしまいたくなる。

一呼吸おくと、久しぶりに流した涙を拭う事もせず祐樹を見つめれば、そこには無表情で見下ろす姿があった。



とことん冷めた男だと思う。

泣いている私を宥めるどころか、漆黒の瞳には次第に怒りさえ見えてくるのだから。



『チッ…』

「…ちょっ、」



がっちり掴まれた腕を強引に引き、乱暴に助手席に放り込まれた私は、抵抗も出来ぬまま強制的に祐樹の家へ連れて行かれた。





「祐樹、痛いっ」

『うっせーな…』



グイグイと引きずられる様に寝室に連れていかれ、ベッドに投げ倒された体。

スプリングがいつも以上に跳ね上がる中、私を抑え込む様に跨がってきた祐樹は“その顔、ムカつくんだよ”ボソッと呟き、髪をグッと引き上げる。



「ゆう、き…」



闇に染まった瞳は驚くほど冷たく。

睨み付ける眼差しに、恐怖から再び涙が零れ落ちていく。



『誘われて簡単に体重ねる女が、今さらなに?』



“好きなんだろ?”鼻で笑いながら、私の服を剥ぎ取っていく祐樹に。



「…違う」



今にも消えそうな声で呟いた。



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