tearless【連載中】
「誠二さん…」

『なに?』

「あの…、裕樹が泣くのを嫌がる理由、知ってますか?」



どうしても知りたかった。

何故、あんなにも涙を嫌うのか…。

人が変わった様に冷酷な眼差しで見つめ殴る裕樹は、普通じゃなかったから。



『知ってるよ…。知りたい?』



私に背を向けていた誠二さんが、ゆっくりこちらを向く。

やけに落ち着いたその静かな表情が逆に恐かったけど、顔を縦に振ると真っ直ぐ誠二さんを見つめた。



『…そうだよな』



“知りたいよね、裕樹の過去…”そう呟き再び私に背を向けると、深く深呼吸をする。

意味深な発言に少し不安を覚えたが、やっぱり知りたくて。

知る事でなにか変わるかも知れない、私は単純にそう思っていた。




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