tearless【連載中】
友達の一人が、“裕樹って、なんで独り暮らししてんの?”そんな事を言い出した。

今まで、気になってたけど聞けずにいた事。

他の奴らも、興味津々で裕樹を見る。



『あぁ…』



いつ聞かれるのか、そう思っていたかの様にビール片手に冷静な裕樹。

周りの奴らは酔いも手伝ってか、ここぞとばかりに次々と質問を投げかける。



『おい、お前ら…』



俺が見兼ねて制止させると、“誠二、いいよ別に”裕樹はそう言って、煙草に火をつけた。

フゥー、と紫煙が上がると、空になったビール缶をテーブルに置く。



『俺さ…親父の事、殺したい程憎んでんだ…』



その時の裕樹の顔は今でも忘れない。

虚ろな瞳の中に見えた憎悪。

口元は笑ってたけど、すげー冷たい瞳をしてた。








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