tearless【連載中】
親父が久しぶりに帰ってきてて、母親と話してたんだ。

俺は気まずくて自分の部屋に居たけど、泣く声は聞こえてさ。

いつこの生活から開放されるんだろう…。

泣きたいのは、俺の方だよ…。

そう思ってた。



それから数時間後、出て行く親父と入れ替えに母親の所に行くと、テーブルで頭を抱える姿があって。



”お父さん、居なくなっちゃった。裕樹の為にも戻ってきてってお願いしたけど、ダメだった。ごめんね、ごめんね、裕樹…“



そう言って俺を抱きしめた母親は、とても小さくて冷たかった。

震えながら涙を拭くと、久しぶりに笑顔で俺の頭を撫で”買い物、行こっか“二人で出掛けて、俺が好きだったオムライス作って食べたんだよな。



『それから三日後、自殺したよ、お風呂場で…。』



テーブルには”愛してる“って遺書らしきもの。

手には離婚届けを握りしめて…。




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