tearless【連載中】
『で、裕樹は親父さんに引き取られ、浮気相手とその間に産まれた子供と暮らす事になったんだけど、中学に上がると同時に家を出たって訳』



“辛かったろうな…”切なく響く声は、どことなく震えてて。

それ以上、私は聞く事が出来なかった。



『これが、裕樹が涙を嫌う原因』



そんな私を見て、フッと悲しく笑う誠二さんは“母親と重なるのかもな…”一言呟く。



「私…」



傷付けられてばかりだと思ってたけど、私も裕樹に辛い思いさせてたのかな…?

想像を遥かに超えた内容に、想像すらつかず掛ける言葉が見つからなかった。



『葵ちゃんは気にしなくていいから。』



“どんな事情があるにせよ、傷付けるのは許されない行為なんだから”優しく頬に触れる手はとても暖かく。

裕樹は、この人に守られてきたんだなって思ったら、少し安心した。



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