tearless【連載中】
「……裕樹から離れようって思った事無いんですか?」

『昔はあったよ。でも、親父さんに言われたんだ、頼むって…。』



“それに、裕樹の事信じてるから。いつか立ち直ってくれるって…”



…私は逃げる事ばかり考えてた。

変わってしまった裕樹に恐怖を覚え、自分を守るのが精一杯で。

裕樹の心情なんて考えなかった。

考えようともしなかった…。



「変われる、かな…」

『過去を受け入れ、親父さんを許す事が出来たら、変われるかもな…』



“容易な事じゃないけど”



確かに難しい事だと思う。

…寧ろ、刻み込まれた記憶に苦しむのが普通で。

そんなドン底から、はい上がれるかどうかは本人次第なんだ。



ねぇ、裕樹は今も苦しんでるの?

それとも、もう諦めた?





あの漆黒に染まる瞳の奥には、今なにが映ってる……?











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