tearless【連載中】
あの日以来、私は度々夢に魘されるようになった。

なぜかいつも同じ夢で…。



“助けて…”



現実と違い、悲しみに揺れる裕樹の瞳。

そっと傍に寄り添う私は、“大丈夫だよ”そう言って抱きしめる。

だけど、裕樹の体は震えてて…。



“なんで…”

“え、なに?”

“なんで、俺を置いてったんだよ…”

“ゆうき…?”

“何で俺を一人にしたんだよっ!!!!!”



抱きしめる私の体を押し倒し上に跨がる裕樹は、私の知ってる裕樹になってて。

漆黒の瞳からは涙が溢れる。



“なぁ、葵…。俺、もう疲れちゃった…”



肩に置かれていた手がゆっくりと首元にスライドしていく。



“ゆ…うき…?”

“だからさ…”



そう言うと、グっと手に力が入り、私は息が出来ずにもがき苦しむんだ。







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